[1] 謝斧 「伏暑」 七言律詩
[2] 鮟鱇 「伏暑 其一」 五言絶句
[3] 鮟鱇 「伏暑 其二」 七言絶句
[4] 鮟鱇 「伏暑 其三」 五言律詩
[5] 鮟鱇 「伏暑 其四」 七言律詩
[6] 西克 「伏暑」 七言絶句
[7] 登龍 「伏暑」 七言絶句
[8] 喜多 「伏暑」 七言絶句
[9] 逸爾散士 「伏暑」 五言絶句
[10] 真瑞庵 「閑居伏暑」 七言絶句
[11] 藤原崎陽 「伏暑」 七言律詩
[12] 海山人 「伏暑」 七言律詩
[13] 觀水 「伏暑」 七言絶句
[14] 觀水 「涼州詞」 七言絶句
[15] ニャース 「伏暑」 七言絶句
[16] 桐山人 「伏暑 其一」 七言絶句
[17] 桐山人 「伏暑 其二」 七言絶句
[18] 長岡瀬風 「伏暑」 七言律詩
[19] 岡田嘉崇 「伏暑」 七言律詩
[20] 佐竹丹鳳 「伏暑」 七言律詩 後日の追加参加詩です
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[伏暑]
熱夜蒸炊羨庶邦 熱夜蒸炊にして庶邦を羨む
日東盛夏暑無雙 日東の盛夏 暑雙ぶ無し
讀書搖扇依東壁 書を読み扇を揺して 東壁に依り
欹枕聽涼臥北窗 枕を欹だて涼を聴いて 北窓に臥す
月苦倦來眠未就 月苦(さ)えて 倦み来っては 眠未だ就かず
星繁怕去意何降 星繁く怕え去っては 意何んぞ降らん
解衣岸幘風全死 衣を解いて幘を岸けるも 風全ったく死し
呼酒傭舟泛晩江 酒を呼び舟を傭って晩江に泛ばん
[語釈」
●庶邦 諸国
●月苦 月は冴える
●東壁 星名司文章 転謂図書室
●臥北窓 高臥北窓之下 C風颯至 自謂羲皇上人 淵明詩
東壁與北窓両句 何必因典故 只為逃偏枯之誹也
●星繁怕去 星繁愁昼熱 夏夜杜詩
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[2]
投稿者 鮟鱇
[伏暑 其一]
垂綸人半梦, 綸を垂れて人は半ば夢み,
流汗對南江。 汗を流して南江に対す。
驕日烹行水, 驕日 行水を烹れば,
魚鱗浮釣矼。 魚鱗 釣矼に浮く。
[語釈」
垂綸:釣りをする
驕日:盛んに照る太陽
行水:流れ行く水
魚鱗:魚
釣矼:釣りをするための飛び石
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[3]
投稿者 鮟鱇
[伏暑 其二]
白首枕書眠北窗, 白首 書を枕して北窓に眠り,
涼陰梦雪臥肥尨。 涼陰に雪を夢みて肥尨 臥す。
午鷄將痩無鳴處, 午鷄まさに痩せんとして鳴く無きところ,
只有驕陽過鏡江。 ただ有り 驕陽 鏡江を過ぐ。
[語釈」
肥尨:太ったむく犬。
夢雪:「吠雪尨」という詩語をもじった表現。
午鷄:昼に鳴く鷄。ここでは鳴かない。
なお、陶濳に「鷄鳴(狗(いぬ)は吠ゆ 深巷の中、鷄は鳴く桑樹の巓」の句がある。
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[4]
投稿者 鮟鱇
[伏暑 其三]
門前絶車馬, 門前に車馬 絶え,
樹蔭見眠尨。 樹蔭に眠る尨 見ゆ。
午日臨南嶺, 午日 南嶺に臨み,
霜頭梦北窗。 霜頭 北窓に夢みる。
納涼乗小艇, 涼を納めて 小艇に乗り,
傾盞下C江。 盞を傾けて清江を下る。
笑對仙娥醉, 笑って仙娥の酔うに対せば,
睡魔瞠目降。 睡魔 瞠目して降る。
[語釈」
仙娥:美人
睡魔降:眠気が醒める
瞠目:眼を見張る
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[5]
投稿者 鮟鱇
[伏暑 其四]
草舍納涼依北窗, 草舎の納涼 北窓に依り,
曲肱堪枕梦何邦? 肱の枕するに堪ゆるを曲げて夢みるは何の邦ぞ?
浮舟流水對仙女, 舟を浮かべて流水に仙女に対し,
含笑殊郷共酒缸。 笑みを含んで殊郷に酒缸を共にす。
醉眼朦朧坐星夜, 醉眼朦朧として星夜に坐れば,
月輪圓轉過天江。 月輪円転して天江を過ぐ。
游魂易醒風蒸鬱, 游魂 醒め易し 風は蒸鬱,
繁蔭可憐無吠尨。 繁蔭 憐むべし 吠ゆるなき尨。
[語釈」
仙女:美人
殊郷:異郷
酒缸:酒をいれるかめ
繁蔭:よく茂った木陰
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[6]
投稿者 西克
[伏暑]
吟朋会瀞訪C江 吟朋、瀞に会して清江を訪う。
走翠微如雁上降 翠微に走るは、雁の上降の如し。
赤日已斜堪洗暑 赤日已に斜なれば、暑を洗うに堪えたり。
残螢光裏傾銘缸 残螢光裏、銘缸を傾けん。
長瀞河曲地、在荒川上流。
雁坂峠架橋、如雁飛跡。
昨年雁坂峠を通り、長瀞に遊んだ思い出です。
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[7]
投稿者 登龍
[伏暑]
炎塵焦土水雲邦 炎塵焦土水雲の邦
山影潺湲何可降 山影潺湲何ぞ降るべけんや
向晩餘威愁畏處 晩に向ふ餘威愁畏する處
鐸鈴漸動仰書窗 鐸鈴漸く動き書窗より仰ぐ
激しい暑さに土を焦がすほどだが、川の多い国
山影の水のさらさらと流れる音はどうして降参することが出来ようか、いや出来ない
晩に向かう残りの威勢に愁え恐れているところ
軒の鈴が漸く動き書斎の窓より仰ぐ
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[8]
投稿者 喜多
[伏暑]
如燬驕陽炎暑邦 燬くが如き驕陽 炎暑の邦
浴槽弄水樂流淙 浴槽の水を弄し 流淙を楽しむ
偸生老大消長夏 生を偸む老大 長夏を消し
自有敲詩坐北窗 自ら詩を敲く有りて 北窓に坐す
傘寿を迎え、海や山への行楽も侭ならず、居ながらの水遊びで避暑を楽しんでいる様子を詩に纏めました。
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[9]
投稿者 逸爾散士
[伏暑]
国数ノ堤岸 緑草、堤岸に繁く
廢船浸靜江 廃船、静江に浸る
旬餘無驟雨 旬餘、驟雨も無し
列日映舷窗 列日は舷窓に映ず
堤の岸に草は繁り
廃船は静かな川につかっている
十日あまり、夕立もない
夏の日は舟の窓に映っている。
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[10]
投稿者 海山人
[伏暑]
熱殺身心混盡雙 身心を熱殺すれば 双つながら混尽す
八風澀滯一方窗 八風 渋滞したる 一方の窓
塵間卻冽官無息 塵間 却って冽にして 官息むなく
竹裏故蒸氣不降 竹裏 故さらに蒸して 気降らず
日暮西山星點滅 日暮 西山 星点滅
雲生東海雨濛瀧 雲生 東海 雨濛瀧
水C初見珠如石 水清み ようやく見たり 珠石の如し
万法透關溽渡江 万法 関を透って 溽江を渡る
[語釈]
「混尽」 混ぜ尽くす。
「故」 ことさらに。
「降」 くだる。
「濛瀧」 こさめけぶる。
「初」 ようやく。
「溽」 溽署。蒸し暑さ。
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[11]
投稿者 藤原崎陽
[伏暑]
疎簾一扇據南窗 疎簾一扇 南窓に據り
電影閃光甘雨降 電影閃光 甘雨降る
茅屋難堪朱夏日 茅屋堪え難き 朱夏の日
林亭易過拷A矼 林亭過し易し 緑陰の矼
風來水澤群鳧躁 風來りて 水沢 群鳧躁ぎ
雲去沙洲閑鷺雙 雲去りて 沙洲 閑鷺雙ぶ
時聽鳴蝉聲斷續 時に鳴蝉の 声断続するを聽き
黄昏更雜野童跫 黄昏更に雜ゆ 野童の跫
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[12]
投稿者 真瑞庵
[閑居伏暑]
門柳繁繁影投江 門柳 繁繁 影江に投じ
川風翻翠入書窗 川風 翠を翻して 書窓に入れり
暫貪午夢拷A睡 暫し貪る 午夢 緑陰の睡
時酌醇醪碧玉缸 時に酌む 醇醪 碧玉の缸
どうしようもなく暑い夏をやり過ごすのには昼寝と美味い冷えたビールでしょうか
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[13]
投稿者 觀水
[伏暑]
赤帝灼天侵我邦 赤帝 天を灼いて 我が邦を侵すも
吟魂自有豈言降 吟魂 自ら有り 豈 降を言わんや
長堤散歩詩成處 長堤 散歩して 詩の成る処
迎得C風渡暮江 迎え得たり 清風の 暮江を渡るを
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[14]
投稿者 觀水
[涼州詞]
旗翻壘壁磧中邦 旗は塁壁に翻る 磧中の邦
霸業竟成胡虜降 覇業 竟に成って 胡虜をして降らしむ
萬里誰知故園涙 万里 誰か知る 故園の涙
潸然何處入長江 潸然 何れの処か 長江に入るを
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[15]
投稿者 ニャース
[伏暑]
無風伏暑到書窗 伏暑 書窓に到る風無く、
未得歸期在異邦 帰期 未だ得ずして異邦にある。
月出思家君莫怪 月出でれば家を思う君怪しむ莫れ、
此光可照故郷江 此の光 照らす可し 故郷の江。
異邦ではありませんが、久しく高校までいた町に帰っておりません。
旧友たちに逢いたいなあという思いで書きました。
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[16]
投稿者 桐山人
[伏暑 其一]
百日紅花映碧江 百日紅花 碧江に映え
香魚溌剌躍苔矼 香魚 溌剌 苔矼に躍る
暑中亦好是詩境 暑中亦た好し 是れ詩境
晝夢林亭傾一缸 昼夢 林亭 一缸を傾く
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[17]
投稿者 桐山人
[伏暑 其二]
曉蝉早起噪南窗 曉蝉 早に起きて 南窓に噪ぎ
夾竹桃花絳素雙 夾竹桃の花 絳素に双ぶ
夜熱猶殘三伏日 夜熱 猶殘す 三伏の日
小池蒸水浸徒杠 小池の蒸水 徒杠を浸す
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[18]
投稿者 長岡 瀬風
[伏暑]
分廛高閣望澄江 廛を分つ高閣 澄江を望み
澗急潺湲露石矼 澗急にして 潺湲石矼を露わす
浴水白鴎魚散列 水に浴す白鴎 魚列を散じ
添途獄樹成幢 途に添う緑柳 樹幢を成す
冷瓜粗糲求南市 冷瓜粗糲 南市に求め
炎瓦驕陽避北窗 炎瓦驕陽 北窓に避く
細汗下簾渾不管 細汗簾を下して 渾て管せず
夜来凉動読書ス 夜来凉は動く読書のス
[伏暑]
蒼昊飛翔燕一雙 蒼昊飛翔す 燕一双
郊墟湍水響琤淙 郊墟の湍水 響いて琤淙たり
風生克待時雨 風は緑樹に生じ 時雨待ち
暑滿紅塵覆本邦 暑は紅塵に満ちて 本邦を覆う
炎靄恣乾豊草萎 炎靄乾を恣にして 豊草萎え
火雲伸影臥龍降 火雲影を伸ばして 臥龍降る
碧花檐馬消長夏 碧花檐馬 長夏を消し
衫子霜紈遊暮江 衫子 霜紈暮江に遊ぶ
[伏暑]
火雲蘊蘊燒苔矼 火雲蘊蘊苔矼を燒き
唯乞雷神飛雨滝 唯雷神に乞う 飛雨の滝たるを
濃絳庭花炎似揺 童は氷果を嘗て書几に凭り
淡青杉子汗如降 媼は冷茶を啜りて北窗に眠る
童嘗氷果凭書几 濃絳の庭花 炎の揺るに似たり
媼啜冷茶眠北窗 淡青の杉子 汗の降るが如し
暑鬱年年難絶裏 暑鬱年々 絶え難き裏
水明山紫戀郷邦 水明らかに山紫なる 郷邦を戀うる